働き方改革の具体的な処方箋!RPAまとめレポート

   

なぜRPAが注目されているのか

記憶に新しい方も多いと思いますが、電通の新人社員が自殺したこ事件が大々的にマスコミでとりあげられ、過酷な労働環境の改善を企業に強く求められるようになりました。政府もこの問題の重大さを深刻に受け止め、厚生労働省は「働き方改革」を強く推奨し、「働き方改革実現会議」が発足するなどしています。
企業はその対応に追われていますが、具体的な施策立案やその実施には頭を抱えていました。そうした背景から、従業員の長時間労働を改善する具体策として注目されるようになったのが「RPA(Robotic Process Automation)」です。システムベンダーやコンサルティング会社を中心にその導入支援が進めており、その普及を目的とした日本RPA協会も発足しています。人口減少による労働力不足という日本の大きな社会課題解決のための方策としても注目されています。

国外では少し違う角度からも注目されているようです。欧米では金融危機以降、あらゆる面でのガバナンス強化が求められる一方で、これまでの単純な定型業務に要する人件費削減が課題とされてきました。欧米銀行を中心に業務の品質を確保しつつもガバナンスを効かせてコスト削減を実現する方策としてRPAが注目されるようになっています。

国内外において、直近の大きな事件や将来、国が直面する大きな課題解決を目的として、RPAが注目されているのが現状と言えます。

RPAはどんなものなのか

重大な課題解決が期待されるRPAとはどんなものでしょうか。RPAとは、認知技術(ルールエンジン・機械学習・人工知能等)を活用した、ホワイトカラー業務の効率化・自動化を指しています。これまでは人手が必要とされていたトランザクション処理、データ操作をロボットのように自動で処理してくれるソフトウェア技術であり、バックオフィス業務(財務・人事・経理・カスタマーサービスなど)のようなホワイトカラーが担当してきた業務プロセスを改善するものです。

業務プロセスの改革はこれまで何度も注目されてきました。1990年代のBPR(Business Process Re-engineering)、システム化を指向した2000年代のBPM(Business Process Modeling)、ICT高度化を背景に2014年頃からは「新テレワーク(モバイルワーク)」が進められました。ですが、ホワイトカラーの業務生産性向上に寄与したとは言い難く、改善の余地がありました。アプローチできていなかったホワイトカラーの業務を効率化・自動化し、労働時間短縮やそれに伴う人件費削減、より重要で創造的な業務へのシフトを可能にすることがRPAには期待されています。

RPAの分類と主要ベンダー

RPAは画面上のアプリケーションやシステム画像を識別して人間と同じように操作を行うソフトウェアによって行われます。KPMGは操作の知的高度さによって3つのステージ(定型作業の効率化・非定型作業の効率化・高度な技術化)に分類しています。

第一ステージでは、プロセスやルールが固定となっている定型作業が、ルールエンジンやワークフロー、画面認識技術により自動化されていきます。しかし、例外対応や非定型業務に関しては人間が間に入る必要があります。Blue Prism社、Automation Anywhere社、UiPath社、NICE社がベンダーに挙げられます。

第二ステージでは、データ分析に基づく学習や非構造化情報処理がある程度可能になることで、例外対応や非定型業務が一部自動化されます。これにより人間がプロセス改善や意思決定等の高度な業務に集中できるようになると期待されます。ベンダーにはArgo社、Celation社、Work Fusion社、Genfour社があります。

最後に第3ステージでは、高度な人工知能により作業の自動化にとどまらず、業務の分析・改善、意思決定までを自動化されていきます。IP Soft社が実現に向けて取り組んでいます。

多様な領域への導入事例

BPO業務

英国第二位の携帯通信会社Telefonica O2は月次処理のトランザクション数が40万件あり、2004年頃からバックオフィス業務をインドのBPO事業者に委託していました。2010年にパイロットプロジェクトでRPAの効果を実証したのち本格導入し、バックオフィス業務の35%に相当する15の業務を2015年までにRPAを進めたました。15の業務は多岐に渡り、SIMカードの交換、クレジットチェック、オーダー処理、顧客の担当割、固化yクライアント情報管理などが含まれていました。2010年以降、500人まで増加していたインドの従業員は半分に削減されました。

請求書・納品書・申込受付処理

英国のDavies Groupは保険会社に請求処理管理、検証などのサービスを提供していました。保険の請求業務にRPAを導入し、4人で一日あたり3000件の請求処理が可能になりました。

受注・出荷処理

カメラやレンズなどの画像関連事業を扱うGenpact社は顧客からの購入受注を受けると個々の顧客ごとの契約に基づく価格・割引率を適応させており、この作業を人手で行っていました。この作業にRPAを導入すると、一件あたりの処理スピードが25%向上、エラー0%、人で作業を90%削減して生産性が40%向上しました。

顧客問合せ・クレーム対応業務

旅行会社では、顧客の予約情報を社内システムに更新する作業と、顧客に予約内容をeメールで通知する作業を自動化し、作業時間の短縮と顧客満足度の向上を可能にしました。

RPA導入時の留意点

RPA導入時には幾つかの点に留意することが必要です。RPA検討時の部門間連携と、RPA導入後の管理体制の構築です。

業務プロセスを主にユーザー・インターフェースを経由して自動化するというソリューションの性質上、RPAでは導入時に現場の部署が積極的に参加する必要があります。RPAで設定すべき業務プロセスの洗い出し、順序の確認、成果の評価を行うためには、サブジェクト・マター・エキスパートとよばれる業務に精通した現場担当者の協力が必要となります。しかし、従来型のシステム開発を担ってきたシステム部門の協力も必要です。一見すると機能が非常に似通っているRPAソリューションも、実はアプリケーションの操作可能性やロボットの管理機
能などに差があり、長期的に導入効果を高めるには、ソリューション選定時に今後の適用可能性も含めた技術面での検証が重要になります。こうした検証には、システム部門のノウハウが必要になります。

またRPAは、現状のシステムを用いて現状の業務プロセスに適用される、一時的なソリューションとも言えるため、長期的にはシステム変更や基盤変更の影響を受けます。RPA化されたプロセスがきちんと把握されないまま社内に乱立すれば、システム変更時に一斉に影響を受ける可能性もあります。また、RPAがブラックボックス化して残存してしまい、何をやっているかわからない状況も避けなければいけません。RPA導入後に、システム部門も関与しながら、社内のRPA導入プロセスを把握し、影響のモニタリングを行うRPAの管理体制を構築することが不可欠です。

まとめ

今回は、今注目されているRPAについてまとめてレポートしました。RPAの技術自体は従来からあったものの、時代の要請によって強く注目されるようになったというのが実状だと思います。テクノロジーも人が必要とするときにはじめて価値を持つということなのかもしれません。今回参考にした文献等を最後にはっておきます。

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